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サイエンティスト・事業戦略担当・コンサルタントとして、企業の課題解決に取り組んできました。気ままにですが、参考になりそうなことを書いていければと考えています。コメントをいただけると嬉しいです。

蓋然性|これなんて読むの

ビジネススキルアップ

先日、報告書にxxxの蓋然性が高い、と書いたところ、上司に『これなんて読むの』と言われました。

 

ちらりと報告の意図を説明すると彼は、『”可能性が高い”、でよくない?』と仰いました。以下を説明するのも面倒だし、逆らうのも時間のムダだけど、正確にはよくないので、『可能性が大いにある』としておきました。

 

可能性と蓋然性

私は言葉遣いに関する緻密な議論が出来る人間ではないです。が、この2語は日本語で最も使い分けが出来ていない言葉の一つではないかと思っています。この違いを理解することはビジネス判断にとても重要。もしかしてこの言葉の使い分けができると、ビジネスで失敗する『蓋然性』を下げることができるのではないか。そんな風に思い、最近意識していたところでした。

 

そんな中、私の生殺与奪権をもつ50代のおっさんが『これなんて読むの?』といったことには落胆を禁じえませんでした。が、めげない。

 

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可能性と蓋然性の混同-伊原教授の読書室

 

≪抜粋・概要≫

”よく、可能性が大きい/高い、とか小さい/低いとか、言いますが、正確な表現として適切ではありません。英語で言うとわかりやすいのですが、Possibilityが可能性、Probabilityが蓋然性。前者は『あるか/ないか』、後者は『高い/低い』です。”

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白状すると、比較的最近まで、私も無頓着に使っていました。(今も時々、言っちゃいそうになります)。でも、この言葉の概念を考えると、可能性という言葉を使う機会って少ないはずです。

 

例えば、”結婚相手を決める”とき。もちろんハッピーな結婚生活を送りたくて相手を決めるのでしょうが、ハッピーな生活を送ることが出来る、”可能性があるかないか”、じゃなくて、”蓋然性が高いか低いか”、で判断し、役所に行くか、次なる出会いを求めて合コンetc...に行くか、決めるのではないでしょうか。結婚生活、うまくいく可能性も、いかない可能性もそれはありますよね。

白か黒か

私の仕事は『事業方針の提案』です。言い換えると、『ある事業を行うか否か』という方針を決定するとき、これをやると、”会社に有意義”か、或いは”社内関係者全員の業務をムダにするか”を検討し、提案をすることが仕事です。新規事業という色味のわからないグレーを、いかに黒に近いか、白に近いか判断する。このために情報を集め、計算し、理解を得難いであろう人に根回しをし、判断は白だor黒だ、と言って合意形成を図ってきました。

 

でも、白黒を判断する根拠は、あくまで”蓋然性が高いから/低いから、やりましょう/やめましょう”なのですよね。可能性のあり/なし、ではなくて。絶対成功/失敗するビジネスは、絶対ない。予想が外れることも当たることもある。

 

実際、世の中、白黒はっきりできることなんかほぼなくて、大抵の物事は予想することがとても難しい。

 

この会社ヤバイと思うとき

今の会社のというか日本企業の問題点というか、いざ何かの判断をするとき、極端に言えば、可能性の有無をもとに判断してしまうことがすごく多いように思います。

 

例えば、事業性判断の判断の根拠となり得る事象、A、B、Cがあるとします。このとき、残念だと思うのは、『Aの可能性がある、Bがある、いやいや、Cがあるでしょう』、という議論に終始してしまうことです。最悪なのは、極めて感情的な判断や、声の大きさにより、最終判断されてしまうこと。極端かもしれませんが、結構これに近しいことが起きていることは多いのではないでしょうか。蓋然性という単語が画数が多いせいなのでしょうか。

 

でも、それぞれの事象にどの程度の蓋然性があるのか検証してみたりすると、意外なことが見えてきます。白だとか、黒だとかの色みが見えやすくなったりする。出来るものならば、『Aが起きる確率はxx%ぐらいで。。。』とか、或いは、『Aが起きる蓋然性は50%で、わかりません。でも、Aが起きたときに損失する金額はyyy円で、Aが起きるか否かはわからないけど、この金額を失うことを考えると。。。』とか、数値化して主張すると、合意形成も得やすい何よりも事業失敗の確率を減らせる。そんなことを心掛け、仕事をしてきたつもりです。

 

ビジネス環境には、DとかEが出てくる、すなわち前提が変わるようなことはたくさんあります。このため、どんなに検証しても失敗することはある。リスクをとる必要もある。それでも失敗の確率を減らすことは企業活動の必須条件。逆に、客観的に言えば杞憂ともいえる前提を基に事業判断したがために機会損失を起こしてしまうこともある。

 

それにも関わらず、日系大企業のおっさんたちが、『可能性がある。こっちはない。いやいや、こっちの可能性が。。。』とか言っていると、阿呆くさい。。。この会社ヤバイと思ってしまう。

 

いずれの可能性もあるよ。で、それはどれぐらいの確率と思いますか?それで、何が失われる/得られますか?という問いを出来ている企業って、思いのほか少ないのではないかと思います。私が知らないだけなのかもしれませんが。

何かいい単語ないかな

会議中にProbabilityが、とかPossibilityとかいうと、きっと少し明確になるのですが、些かくどい。どうして、”蓋然性”っていう単語をもっと簡単な漢字にしなかったんだろう。この漢字を考案した人の大罪かもしれません。何かの本で読んだのですが、物事を白か黒かで考えてしまうことは、思考のレベルが低いことの現れであるそうです。

 

かくいう日系大企業出身の私の上司は、普段から魅力的な上司の対局にいるため、漢字が読めない人であったことを知っても私はめげずにおります。が、彼を尊敬する可能性はないことを決定づける出来事でもありました。

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